代表取締役CEO 内山 英俊(うちやまひでとし)
ミシガン大学院でコンピューターサイエンスを学ぶ傍ら研究所でAIエンジニアとして勤務。外資系コンサルティング会社にて、事業戦略・企業再生などを手掛けた後、事業会社を経て、2015年unerryを創業。業界団体LBMA Japanの理事を務めるなど位置情報業界の発展にも務める。趣味は書道。白子が苦手。
「成功なんてありえない」期待値マイナススタートの創業
ーー創業当時のことについて教えてください。
創業日は、7年前の2015年8月20日。
その少し前くらいには、「O2O(Online to Offline)」という言葉がマーケティングトレンドとなり、ビーコンもまた夢の技術として注目されていました。しかし、数多くのプレーヤーがビーコン活用の実証実験を行なったものの、いずれも規模化することなく、世間の期待に応える成功例はほとんどありませんでした。
僕がunerryを創業した際にも、99パーセントの人には「ビーコンで成功なんてありえない」と言われ、期待値はむしろマイナスでした。
しかし、そう言われると逆に「絶対に成功させてやろう」と燃えてくるんですよね。
内山、反骨精神を溢れんばかりの笑顔で語る
大きな市場が見えているのに、誰も本気では取り組んでいないし、成功できていない。なら、自分がやってやろうと。何よりビーコンのポテンシャルには確信に近いものを感じていて、うまくいくと信じていました。
「unerryに頼むと失敗しない」成功事例獲得に全力を尽くした3年間
ーー事業開始から今のunerryに至るまでの波瀾万丈について教えてください。
創業当初は、本当に苦しかった。
今でこそ「120以上のアプリと連携、210万のビーコンネットワーク」と誇れる基盤があるのですが、当時は全くのゼロですからね…。でも、そんな頼りない状況でもunerryを信じてくださったパートナー企業様と一心同体でふんばる中、岐路となる成功例を生み出すことができました。
そこからのunerryにとっては、成功例をどれだけ作れるかが勝負でした。
成功率100%は、マーケティングビジネスである以上不可能。しかし、失敗からは機械学習のように学び続け、「unerryに頼むと失敗しない」。そういったブランドを作るために全力を尽くした3年間でした。
そして2018年になってGPS技術を取り入れ、「勝ちパターン」も見えてきます。提供サービスが現在のunerryの柱となる「分析・可視化」「行動変容」「One to One」に集約されたのもこの頃です。
2022年8月のunerry、主なサービスラインナップ
2020年以降のコロナ禍で「人流」に対する社会の期待値が一転したのは、記憶にも新しいかと思います。混雑可視化や、スマートシティ領域での活用など提供幅が大きくなるとともに、社会的責任も増しました。
そして今年の7月、東京証券取引所グロース市場への上場を果たし、スタートアップ企業としては一つの節目を迎えることができました。ここからは「第二創業」。新たなスタートとなりますが、まずは悪戦苦闘の7年を経て社会的にもやっと認めていただけた。とても嬉しい気持ちです。
創業者の考えを超え、生み出だされた言葉
ーー今年は、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)も作りましたね。どんな想いを持っていますか?
議論を尽くしたミッション いろんなところで言いたい
大量のヒアリングとメンバーを変えながらのディスカッションなど、全員が何かしらの形でMVV作成に関わり、皆の想いが明文化されたことは、すごく嬉しかったです。
いち意見を出した人間として、そして創業者としても想いを重ねていますが、もし、僕だけで決めていたら「心地よい」という言葉は出てこなかった。
「心地よい」という体温ある表現には、今のunerryの多くが集約されていると思います。自分の考えを超えたところで生み出されたことに感動しました。本当に作ってよかった。
また、上場企業となった今は、「この企業は、何のためにやっているのか?」を日本中の人に伝える事も重要です。
「心地よい未来を、データとつくる。」
unerryという会社を知っていただく際に、まず最初に知ってほしい想いです。
(多分世界でも)唯一無二、「人流データ」の上場企業
ーー7期目のニュースは、なんといっても上場です。なぜ上場を選んだのでしょうか?
上場の鐘 unerryにとって特別な音色が響いた
日本に約3,700社しかない上場企業。その中でも恐らく、「人流」をメイン事業とする企業は僕が知る限り他に例がないのではないかと思います。「人流」という言葉は、コロナを契機に今でこそ多くの場面で使われるようになりましたが、ずっと社会にとってのメインストリームではありませんでした。
「人流ビッグデータ」を社会のインフラとして根付かせ、可能性を拡大する。
そのためにも、社会的信用の象徴ともいえる上場は、必要な選択でした。
ーーそろそろ、上場して1ヶ月です。経営面以外でも、良かったと思うことはありますか?
そうですね。
unerryは、世の中のほとんどの方にとって「聞いたこともない会社」だと思います。メンバーはきっと、いろんな場面で「unerry?大丈夫なの?」と、言われてきたのではないでしょうか…。
とあるメンバーは、奥様とのご結婚前に大企業から創業したてで売上の柱もまだないunerryに転職したいことを話し、「必ず上場させて世の中に認められる会社にするから」と約束したそうです。
応援すると言ってくれた奥様との約束を、ようやく果たしてもらうことができた。
家族や友人に「自分が上場させたんだよ」と胸を張ってもらえるのは、僕自身もとても誇らしいです。
入居するCIC Tokyo からお祝いのメッセージ。メンバー一同歓喜!
人は失ったら取り戻せない 「未来を作る仲間」と刺激的な変化を楽しむ
ーーunerryのチームについて教えてください。
多分、僕が代表の立場で、かつほとんどのメンバーにとっては年長者だから、色々と立ててくれるのですが、unerryのメンバーは、自分より優秀な人しかいないと思っています。
会社を立ち上げた時から、unerryのことなら隅から隅まで把握しているつもりでした。でも、最近はそうもいかなくなりました。現在のメンバー数は55人。僕が当初想像していたものより、段違いにレベルの高い仕事をしています。
チームは、僕にとって何より優先順位が高いです。たとえばもし、予想だにしない出来事がおきて、経営危機になって、資金もデータもプロダクトもなくなったとしても、新しい未来を作るメンバーがいれば再生できる。でもチームだけは、失ったら取り戻せないと思うのです。
面接フローのどこかには必ず内山が登場します
ーー採用面談では、どんなポイントを意識していますか?
入社面談でのコミュニケーションで僕が必ず確認するのは、優秀さではなく、「同じ方向を向けるかどうか」です。
具体的には、ベン図をイメージしています。面談させていただく方と内山もしくはunerryとの円がどれだけ重なっているのか、その重なり具合が大きくて、かつお互いに理解することができれば「同じ方向を向ける」と考えています。
また、面談の場では話しにくいこともあると思いますが、失敗談を正面きって話し合えることは大事だと考えています。一緒に仕事したら、議論をぶつけ合うこともあると思います。お互い逃げず、どんなことも、目を見て話せるチームでありたいですね。
unerryは「未来を作る会社である」ということは、言い続けています。前提を壊して、ビルドアップすることに躊躇がない人が今後の中核になっていくと思います。
今後の出会いで、今のメンバーも刺激され、変わっていく。楽しいですよね。そういうことを一緒にやっていきたいと思います。
「第二創業」の8期目 次のunerryを牽引するリーダーは誰だ!?
ーー8期目は、どんな年にしていきましょうか。
「第二創業」、その元年だと思います。
組織体制も変更し、真新しく始まった8期目は、社歴に関わらず「新しい会社を皆がゼロから作る」が目標です。
7期目までは、僕が描いた方向性を皆がよりよい形で具現化してくれた時間が多かったと思います。しかし、僕の想像を超え進化したunerryにとってのこれからの5年10年は、メンバー自身がどう未来を描くかにかかっています。
全員均等にチャンスが存在するのが今。誰がリーダーとなって、「第二創業」を牽引していくのか。ワクワクがとまりません。
上場のお祝いにいただいたお花でオフィスが華やかに
リアル版Googleを目指し、unerry,every whereを実現する
ーーunerryの成長ポテンシャルについて教えてください。
unerryは、「リアル版Google」を目指しています。
デジタルの世界を検索可能にした Google の売上は、30兆円ほど。圧倒的ですが、たとえば「購買」で考えるとデジタル上での消費は10%に満たず、その90%以上はリアルで行われています。
つまりリアル社会をデータ化するunerryには、「 Google の9倍以上の可能性がある」とは言い過ぎかもしれませんが、2022年6月期のunerryの売上高は14億円。その100倍の1,400億円、1,000倍の1.4兆円は十分目指せる規模だと考えています。
あとはどう頑張るか。まだまだ足りないのは、ユースケースの開拓です。
たとえばコロナ禍においては緊急事態宣言下、社会ニーズに応えようと無料サイト「お買物混雑マップ」をリリースしましたが、結果的に「混雑可視化」という新たな領域は事業の柱の一つになりました。
「人流ビッグデータ」の活用用途は、まだまだ発掘されずに眠っている領域があると思います。
今後は、インドネシアを皮切りにアジア、アメリカ、ヨーロッパへも進出していきたい。その中でさまざまな可能性を探っていかなければと考えています。
まだまだ届くお花たち!5034はunerryの証券コード
ーーunerryは、これまでたくさんの方のサポートをいただいてきました。応援してくださる皆様と、ここまで読んでくださった皆様に向けた「宣言」を、お願いします!
今まで支えてくださった方々とは、「新しいものを作る」という共通の想いをもってやってきました。unerryがもっと強くなれば、一緒にできる幅も、ぐっと広がる。そんなワクワク感を今後も共有していきたいと思います。
我々はまだまだ知られていない企業ですが、「人流」というちょっと珍しい分野のunerryが、世の中に欠かせないインフラになって、世界のどこでも使われている(unerry,everywhere)ようになる。誰もが知るメインストリームの会社になる。
そんな姿をご期待いただきたいと思います。
■上場記念ロゴ「unerry balloon」
unerryは、どんな店舗や街に行っても、どんな情報に触れていても「環境知能」が実装されている“unerry,everywhere”の実現に向けて日々邁進しています。
未来への決意、そしてみなさまへの感謝の想いを祝いのバルーンに込め、上場記念ロゴ「unerry balloon」をデザインしました。多様な形のカラフルなバルーンは、私達の生活を支えるあらゆるIoTデバイスとの連携や、それらを通じた多彩な情報が自然に提供される体験に溢れた未来をイメージしています。
自由で豊かな選択肢を表現したバルーンは、私たちが作りだす“うねり”の中から生まれ、世界のどんな空へも舞い広がっていきます。
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