技術

2023.04.17

Mario

『Beacon Bank x ChatGPT で叶えるパーソナルコンシェルジュ』を作ってみた

『Beacon Bank x ChatGPT で叶えるパーソナルコンシェルジュ』を作ってみた

チーフデータサイエンティストの Mario です!

皆さん、ChatGPT、使ってますか?毎日何かと話題に事欠きませんね。私も日々 ChatGPT を使い倒しています。この記事も ChatGPT のサポートを得ながら書いています。unerry 社員も個人的に ChatGPT の活用する人が増え、度々 Slack が盛り上がっています。

ビッグデータと掛け合わせての活用方法は無限にあり、積極的に取り入れて行ってます。まだまだ私たちも個人レベルから組織レベルまで模索中ですが、一例としては以下があります。

– ユーザー嗜好性に合わせたコンテンツ(クリエイティブ)の自動生成
– 分析結果からインサイトを得るためのサポート
– 新しいデータの掛け合わせによって期待される効果や商品の提案

まずは第一弾として、ユーザーの嗜好性に合わせ、お勧めの近隣店舗をレコメンドするメッセージを自動生成する仕組みを開発してみましたので、今日はその紹介をしていきます。

開発の狙い

ところで皆さん、あまり慣れていない場所に来た時にどこでランチを食べようか迷ったことありませんか?その時、多くは Web 検索だったり、飲食店検索アプリだったり、あるいは SNS だったりで探すと思います。

でも、実際行ってみたら混んでて入れませんでした、とか、本当は静かな空間が好きなのにワイガヤしてました、とか、失敗することもありますよね。もし、初めて来た場所でも、自ら検索することもなく、嗜好にあったお店を自動で紹介してくれたら、こんな便利なことってありませんか?

元々 unerry はそんな世界を創りたいと思って創業したわけですが、それをさらに ChatGPT によって加速させられないか、というのが発想の起点です。また、これによってクリエイティブ担当者やデータアナリストの工数を劇的に削減できる期待も込めています。

何をした?

unerry はユーザーのリアルの行動情報に基づいて、デモグラ(性別、年齢層、行動嗜好性)からリアルタイムの状況(通勤中、お買い物中、旅行中など)を推定するAIを開発しています。

そのユーザーの属性とコンテンツとのマッチングを行って情報配信を行っているのですが、リアルタイム性だったりパーソナライズという観点ではAI技術を活用することで、さらに改善や発展の余地があると考えました。

unerry ではセキュリティに配慮の上、全社員が BigQuery を共通の分析基盤として使用できる環境を整えています。そこで、BigQuery から ChatGPT を直接利用できるようにしました。

どうやって?

具体的には、ChatGPT に対してリクエストを投げてレスポンスを得る Python プログラムを Cloud Functions にデプロイしておき、Remote Functions を介して、BigQuery から呼び出すという仕組みです。

例えば、渋谷に来たユーザーに対して、普段の食の嗜好性に基づいて近くのおすすめのお店を紹介するというケースです。ユーザーの年齢層、そして食の嗜好性として「食の好み(料理ジャンル)」と「環境(お店の雰囲気)」をパラメーターとしてリクエスト文に入れることで、一人ひとりの嗜好性に合ったレコメンドを返してもらうようにしました。

リクエスト文
「20~30代の韓国・アジア料理好きな人に向けて、渋谷でゆったりできるお勧めのお店を1つ紹介してください。」
レコメンド文
「『●●(店名・アジア料理店)』は、20-30代の韓国・アジア料理好きな方におすすめのお店です。渋谷駅から徒歩5分圏内にあり、居心地の良い空間でリラックスできます。メニューは韓国を中心にアジア各国の料理がそろい、カジュアルに食事するだけでなく、飲み会やデートにもおすすめです。」

と、このようなメッセージを受け取ることができます。

来訪者の分析 → レコメンドメッセージの生成まで、BigQuery ワンストップでできるため、例えばクリエイティブ作成の工数が劇的に減らせます。

今後の野望

冒頭にも書きましたが、積極的に ChatGPT を含む LLM、また画像や音声など様々な自動生成 AI を活用し、様々なサービスやプロダクトを進化させていきたいと考えています。

直近の課題としては、ChatGPT の学習データは 2021 年 9 月までのものとなるため、情報の鮮度が古かったり、そもそも店舗が実在しなくてもそれっぽい回答をすることもあるため、独自に全国の施設情報を網羅し、品質高く整備したデータを掛け合わせていく必要があります。

また、生成された文章が本当にユーザーにとって不快な印象を与えないかどうかの検証も必要です。今後は、例えば「友達と買い物中」や「仕事終わり」といったユーザー側のリアルタイムの推定状況データに加え、施設側の混雑状況を加味したマッチングにより、リアルタイムでパーソナライズされたレコメンドを行うことで、さらにユーザー体験を進化させていきます。

この記事を書いたのは

Mario

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株式会社unerry Chief Data Scientist。CUDAエンジニア、海洋プラントの機械設計エンジニア、経営戦略アナリストを経て、2017年に unerry へジョイン。趣味はコーヒー焙煎と料理創作と筋トレ。近頃は二人の子供の世話で追われる日々を過ごす。ガジェッター。

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