レポート

2025.03.03

うねりの泉編集部

【Report】人流データで訪日客の心を掴む! インバウンドプロモーション最新手法

【Report】人流データで訪日客の心を掴む! インバウンドプロモーション最新手法

本記事は2025年1月23日に開催されたウェビナー「人流データで訪日客の心を掴む! インバウンドプロモーション最新手法」の内容をイベントレポートとしてお届けするものです。

unerryでは、月間840億件超、4.2億IDの人流ビッグデータを分析することでビジネスやまちづくりに繋がるヒントをご提案しています。

今回のウェビナーでは、盛り上がるインバウンド需要を背景に2024年6月より提供開始した「Beacon Bank for インバウンド」の特長をコンパクトにお伝えするとともに、訪日外国人向けのプロモーション手法とその効果について事例を交えてご紹介しました。

急激に盛り上がるインバウンド市場

「Beacon Bank for インバウンド」は、unerryがこれまで培ってきた人流データ活用のノウハウを活かし、訪日外国人データに対応した新たなサービスです。

「Beacon Bank for インバウンド」プレスリリース

①移動の「分析・可視化」②メディアによる「広告配信」③来訪・来店の「効果測定」といった、国内居住者データでご提供してきた基本的な内容を「Beacon Bank for インバウンド」でもご活用いただけます。

具体的な説明に進む前に、誕生の背景となったインバウンド市場の盛り上がりについて簡単に触れてみたいと思います。

訪日外国人客数(インバウンド)は、コロナで落ち込んだものの現在は大きく回復。2024年には過去最高水準となる約3,690万人が日本を訪れています。また増加傾向は今後も続く見込みです。

国籍については、韓国、中国、台湾、米国、香港が上位5か国となり東アジアの方が多いですが、2019年との比較では米国の伸びも目立ちます。

また消費額は2024年に8兆円を超え、主要輸出産業としては自動車に次ぐ規模となりました。

「世界で最も魅力的な国ランキング」では、日本が2年連続の第1位に選出。大都市部門においても東京が1位になっています。

訪日客急増の理由としては
①コロナ禍が明けて海外旅行が世界的に回復
②円安で手軽に海外旅行ができる
③(新幹線の開通なども背景に)地方へのアクセスがしやすい

といったことがあげられそうです。

このように急激にインバウンド市場が盛り上がる中で、unerryにもインバウンドに対応する人流分析やプロモーションのご相談が増えてきました。

そこでunerryは日本人(国内居住者)だけでなく訪日外国人のリアル行動データも安全かつ大規模に蓄積できる仕組みを整え、「分析・可視化」「広告配信」「効果測定」を行うことのできる「Beacon Bank for インバウンド」を開発。2024年6月の提供開始後、多くのお問い合わせをいただき、お客様とともに日本各地で観光DXの推進に取り組んでいます。

「Beacon Bank for インバウンド」の特長と概要

「Beacon Bank for インバウンド」は、これまでunerryが「Beacon Bank」にデータを蓄積してきたように、提携スマートフォンアプリの利用規約にご同意いただいた方の位置情報を取得しています。ビッグデータをAIで解析し、データに意味をもたせることで、インバウンド対応のさまざまなシーンにご活用いただけます。

20カ国超のユーザーの詳細な人流データを捉えるので、これまでは実現できなかった店や駅、道路単位での来訪把握、そのデータに基づいた広告配信・効果計測で活用できるのが強み
です。

「Beacon Bank for インバウンド」の特長をまとめると、以下の3点が挙げられます。

具体的に、どのようにデータが活きるのかを見ていきます。

<分析・可視化>

この図では、訪日外国人の位置情報データをマッピングしています。

都内のどのエリアに旅行客が多いかを、一目で見ることができますね。東側では秋葉原や東京付近に、西側では池袋や新宿に人が集まっています。

もう少しズームし、新宿駅付近を見せているのがこの図です。

東口エリアの歌舞伎町や伊勢丹新宿付近のエリアでは主要道路に沿ってしっかりと人流が見られます。一方の西口エリアは比較的まばらですが、東京都庁付近には局所的に人が集まっており、都庁の展望台を目的としているのかもしれません。

マッピングだけでなく、データを使った定量的な分析も可能です。こちらは東京メトロの各駅ごとの利用人数の推計を出しています。国籍も判別できるので、それぞれの駅利用者の国籍別構成比を見ることもできます。

また、「インバウンド観光DNA」という当社の独自指標によって施設・エリア来訪者の興味関心度を、「グルメ」ショッピング」「観光」といったカテゴリ別の偏差値で可視化することができます。たとえば「駅C」を利用する人は「観光地A」「商業施設B」利用者よりも「カフェ・スイーツ」への興味度が高い、といったことがわかります。

日本人(国内居住者)のデータも保有しているので、訪日外国人と比較することでヒントを得ることもできます。下記の図は浅草エリアの分析例です。日本人(国内居住者)と比べて 訪日外国人の方が浅草寺だけでなく、かっぱ橋道具街など広いエリアを訪問している傾向が見えてきます。

<広告配信と効果測定>

次に「広告配信」と「効果測定」です。

unerryでは既存の「Beacon Bank AD」をベースにしつつも、訪日外国人向けのメディアをネットワークしています。訪日外国人向けのアプリやデジタルメディア、屋外広告やデジタルサイネージといったリアルメディアを使った広告配信が可能です。

こちらは「インバウンドPUSH」

旅ナカのシチュエーションにあわせ、国籍別にプッシュ配信で情報配信を行い、店舗送客や観光地への来訪を促します。言語やエリアなどを指定し、「店舗付近にいる、国籍〇〇の人」といった具体的な配信ができます。スマートフォンの画面上にプッシュ通知が適切な言語で行われ、またその広告を見た人が実際に店舗や観光地に訪れたのかの計測を行います。

広告表示やクリックの回数だけでなく、「来店人数」「来店率」「来店単価」といった来訪・来店に関する指標をレポートできるのは特長です。

またデジタルメディアに限らず、リアルメディアの活用にもお使いいただけます。

<リアルメディアの活用にも!>

どのエリアに訪日外国人がいるのか、さらにどの通りにいるのかまでも見えるので、「この屋外メディアに出稿すれば十分なインバウンドリーチが得られる」といった判断が可能です。交通広告やバス停広告、屋外広告のほか、unerryと連携する「ChargeSPOT」など、インバウンド向けプロモーションメディアとしては幅広い選択肢があります。

【インバウンド分析】における課題と解決策&活用事例

ここからは、よくある課題感を踏まえながら、その解決策と活用事例を紹介します!

分析における課題の一つは「インバウンドの行動が把握できない」ということ。データが限られ不足しているのでオープンデータに頼らざるを得ないという状況です。また、訪日外国人の行動を詳細に把握できるデータがそもそもないことが課題となっています。さらに「既存メディアにおける効果計測の困難さ」もあります。広告効果の可視化が困難で、広告接触者の詳細な属性や行動把握の必要があると、よくご相談いただきます。

「Beacon Bank for インバウンド」は、20カ国超の訪日外国人における施設や道路単位といった詳細な人流データを収集し分析できる、大規模データを保有していることが強みです。また、分析と組み合わせ効果計測可能な具体的な施策を実施することで課題解決に貢献します。

実際の分析ニーズはさまざまですので、お客様の課題に合わせたご提案をさせていただきます。

こちらの事例は、東京メトログループの広告代理店であるメトロアドエージェンシー様と共同で開発した、インバウンドデータ対応版「行動DNAアナライザー」のご紹介です。

駅利用者のプロファイルや利用状況などを可視化した「行動DNAアナライザー」は、メトロアドエージェンシー様内での広告プランニングにご活用いただいているダッシュボードです。当初は日本人(国内居住者)のデータでの分析でしたが、ニーズ増加に伴いインバウンドデータ対応版に進化しました。

可視化の例です。駅別に、訪日外国人の国籍別構成比をグラフにしています。

人流データは連続的に取得できているので、駅間の併用率分析も行いました。基準駅の利用者は、どの程度他の駅を利用しているかを示しています。たとえば「新橋駅利用者のうち、66.6%は銀座駅を利用している」といった形で見ていきます。

「銀座・築地・新橋」や「渋谷・表参道・明治神宮前」など地理的にも路線的にも親和性の高そうな駅だけでなく、「秋葉原・池袋」などややアクセスとしては遠い駅の併用も見られます。どちらもサブカルチャーの中心地なので、ファンの方が訪れているのかもしれません。

続いて、東京駅と浅草駅で「インバウンド観光DNA分析(グルメカテゴリ)」を行った例です。全体傾向として浅草駅の方が高い偏差値になっており、グルメに興味のある方が多く訪れています。東京駅は観光の目的地というより、移動のハブとしての役割が強いためと想定されます。

浅草駅においては、特に「和菓子・甘味処」「丼物・定食」「居酒屋」「焼肉・鉄板焼」が高い傾向です。さらに浅草駅周辺の様子をヒートマップで見てみると、雷門付近を中心として実際に「和菓子・甘味処」の多いエリアが人気でした。

事例記事はこちらの記事でもご覧いただけます。

【インバウンドプロモーション】における課題と解決策&活用事例

次にプロモーションの課題と事例を見ていきます。

プロモーションの課題においては、「『旅ナカインバウンド』に対する打ち手の不足」が挙げられます。日本人向けと異なり、訪日外国人に向けたメディアがデジタル・リアル含めて少ないのが実情。さらに自社にとってどのメディアを活用すればよいかわからないという声も聞かれます。また、これまでのインバウンド施策では、成果として観光地やお店に十分な送客ができたのかの効果が見えにくくいこともあり、「やりっぱなし」になることが多い状況でした。

unerryが提案するのは「データドリブンなインバウンドメディアの提供」です。デジタルとリアルを含む様々な選択肢の中から、人流データ分析をもとに最適なメディアを選ぶことができ、また送客効果を計測していきます。

こちらは東武鉄道様と実施した「インバウンドPUSH」の事例です。東武沿線の観光エリア送客を目的に、英語、簡体字、繁体字でPUSH配信を行いました。スマホのトップ画面に表示された通知を長押しをすると大きな画像が表示されます。そしてクリックすると東武鉄道のサイトにリンクします。

「インバウンドPUSH」では、クリック率だけでなくインバウンド人流データに基づく来店率の算出も行ない、施策の結果どのくらい観光地への来訪に繋がったかの評価を具体的な数値で行ないました。

「Beacon Bank for インバウンド」は、これまで数値化が難しかった領域に「評価できる基準(来店率)」を提供し、大きく貢献できる点が強みです。

ただし、来店率に関しては、まだ十分な比較データが揃っていないため、単純に数値の高低だけで評価するのは難しい状況です。取り扱う商材やエリア、訴求内容によっても影響を受けるため、継続的な検証と、他施策との比較を重ねながら改善を進めていくことが重要だと考えています。

Q&A

当日いただいた、質問の一部をご紹介します。

Q.訪日外国人と日本人(国内居住者)のデータはどう識別していますか?
A.訪日外国人の方がよく使うアプリから位置情報データを取得する際に、スマートフォンのリージョンや言語設定の情報を連携するので、それによって識別しています。
Q.アプリを利用してデータを取得しているとのことですが、具体的にはどんなアプリを使っていますか?
A.たとえば、「Japan Wi-Fi auto-connect(NTTBP社)」など、訪日外国人の方にとって便利なアプリと連携しています。データソースは今後も増えていく予定です!
Q.データはいつ頃まで過去にさかのぼれますか?
A.直近1年(2023年12月)頃からさかのぼることができます。それ以前はデータ取得の方法やボリュームの規模感が違うので難しい状況です。

担当講師から一言!

講師を務めた平井

「Beacon Bank for インバウンド」は、昨年6月のサービスローンチ以降、多くの企業様、自治体様からお問合せをいただき、分析・可視化や広告配信を中心に様々な実績を積み上げてきました。特に「インバウンドPUSH」については、まだまだインバウンドにアプローチできるメディアが世の中的にも少ないことから、お陰様で非常に多くのお申込みをいただいております。まだまだ伸びしろしかないインバウンド事業ですが、本記事をきっかけに当社のインバウンド事業に興味を持たれたクライアント様やパートナー様、また一緒に本事業を作りたいと思った仲間も募集中です。ぜひ気軽にお問合せいただけますと幸いです。

この記事を書いたのは

うねりの泉編集部

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うねりの泉編集部です。unerryのとっておきをお伝えしてまいります。

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