働き方が多様となった昨今、経験の場は自社内に留まりません。スマートシティ/まちづくりのテーマで大活躍中の村田 顕生(むらた あきお)さんは、NTT東日本社の「社員派遣プログラム」で2022年7月から1年間、unerryで武者修行中。自治体向けの人流データ活用の提案を得意とする村田さんの活躍により、unerryは日本中の各都市との連携を深め、都市OSの実装に向けて何歩も進めることができています。
今回は、なぜ日本有数の大企業から50人のスタートアップであるunerryへの派遣を決めたのか、働くマインドの変化やプログラムを通して得た気づきについてインタビューしました。
登場人物
株式会社unerry Beacon Bank事業部 村田 顕生(むらた あきお)
これまでの経歴:NTT東日本(埼玉支店⇒本社経営企画部)
unerryでの仕事:スマートシティ/まちづくり文脈のプロジェクト推進
最近取った資格:日本サウナ熱波アウフグース協会 熱波師検定B
好きな野球チーム:埼玉西武ライオンズ
自社だけでは得られない経験を持ち帰るため、社員を国内外の大学院や企業へ派遣するプログラム。入社3年目以降の若手社員を対象に社内選考が行われ、毎年数名ほどが派遣される。派遣先は会社が用意するのではなく、社員自ら候補企業を探し、受け入れ先との交渉まで行う。ここ数年はビジネスアイディアの発掘や企業間連携を図るため、新進的なベンチャー企業への派遣も増えているとのこと。
ーーそれでは早速お聞きしていこうと思います。まずは、村田さんが「社員派遣プログラム」を希望された経緯を教えてください。
埼玉エリアで営業を担当していた入社3年目の時、まちづくり協議会に参加したり、産学官での実証実験を行ったりと、スマートシティに携わることがありました。とても面白い仕事だったのですが、当時は会社としても個人としてもノウハウが少なく、期待に応えることができなかったという悔しい想いを残していました。
その後本社の経営企画部で省庁との渉外や、サービスの戦略検討といった仕事を行っていたのですが、6年目を迎える去年のタイミングでスマートシティの分野でリベンジしたいと想い、「社員派遣プログラム」に応募しました。
ーー「スマートシティ」がキーワードだったのですね。
はい。NTT東日本にとってもスマートシティは数年来の取り組みでして、農業や水産業、防災、行政DXといった切り口でも進めてきました。また、通信会社ですので、データ環境整備には強みがあります。なので、「データを使ってスマートシティのために何ができるか?」は大きなテーマであり、私が今回のプログラムで取り組みたいことでもありました。
ーーどうして村田さんは、unerryを選んだのでしょうか?
スマートシティの実現に向けて、これまでNTT東日本では「人手不足を解消する/何かを効率化する」という取り組みが多かったのですが、地域を盛り上げていくうえでは「まちに人を呼び込む」仕掛けが必須だと考えていました。そういった観点での取り組みを、データドリブンで進めていくうえで、人流データに強く興味を持ちました。
実際にNTTグループにも人流分析を行っている会社があり、連携して自治体に人流分析を提案している案件があったのですが、その担当者に聞いてところ「人流を可視化したはいいが、じゃあこの後どういう施策を打てばいいんだっけ…」というところで案件が止まってしまった、という経緯があったと知りました。
ーー可視化と施策はセットで求められるということですね。
はい。人流を可視化するだけでなく、具体的な打ち手まで提案できる会社でなら、どこまでできるか知りたかった。unerryには、人流データを活用した情報配信の仕組み(「Beacon Bank AD」)があったので、ここなら自治体へも幅広い提案ができ、自分がやりたいことができるのではないかと魅力に感じました。
「社外派遣プログラム」では、自分で派遣先を選ぶのですが、そこで何を学ぶかを人事部にプレゼンし、承認をもらう必要があります。そこでも人流データという目の付け所はいいと、EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング:証拠に基づく政策立案)に繋げるための施策を学んできなさいよ、ということで送り出してもらいました。
ーー不安はありませんでしたか?
もちろん、ありました。大企業では、組織が階層になっている分、上長や先輩に“守られている存在”とも言えます。でもunerryは階層のないフラット組織だと聞いていて、うまくやれるのか不安でした。
しかし、面談を通していろんな方とお話する中で、人流データで社会を変えるのだという強い想いを感じて「どれだけついていけるかわからないけど、やってみよう」と勇気がわいてきました。
実際に働いてみて、unerryでは自分で判断するのがやはり前提で、最初は慣れるのに大変でした。でも何本も案件をこなしているうちに、感覚を掴めてきました。誰かの判断を頼りにしない分、確信できるまで何度も考え抜いてやるしかない。もし間違っていたらすぐ軌道修正をすればいいんです。
ーーなるほど。はたからみると、村田さんは最初からすごく馴染んでご活躍のように見えましたが、うちうちには不安もあったのですね。
はい。でも、強く思うのは、unerryに来たという判断は、間違っていなかったということです。
unerryではデータ分析力や提案力だけでなく、プロジェクト管理など、どこでも使えるスキルを身につけることができました。それにメンバーはみな、成長中のベンチャーらしくモチベーションが高い。かといって、とっつきにくい人はいなくて、そんなみなさんと一緒に働ける環境は、期待通りでした。
ーーunerryでの仕事において、どういう部分を一番楽しんでいますか?
街の人流を提案して、実際に分析したら想定通りのこともあれば、意外な結果も出てきます。手に取るように人の流れを理解できるのは、シンプルに楽しい。
また、人流データはここ2,3年で注目度が上がっている分野ですが、自治体の中では専任の方がいるわけではないのでunerryの分析結果やそれに基づく提案は貴重なものとして受け取っていただいています。でも地域のことを一番知っているのは自治体です。自治体の担当者様と一緒に分析結果を見て議論することで、来年度はこうしたら良いとか、数年後の課題解決に繋げるためにはこうしたら良いとか、アイディアが広がっていくのはワクワクしますね。
ーープログラム開始からもうすぐ1年。寂しいですがunerryとしては盛大に送り出さなくてはなりません…。この経験を通して感じたことを教えてください。
大企業とベンチャーで働く、それぞれの良さが見えました。
ベンチャーの一番のメリットは、やりたいことに最短距離で近づけること。unerryでは面談の段階で、丁寧にすりあわせを行いましたが、やりたかったことは今、100%叶っています。一方、大企業には組織力があります。たとえばNTT東日本には、地域にくまなく支店があるなど、全国を網羅するネットワークが強みです。プログラムで得た学びを共有すれば、日本中の自治体でEBPMにもとづくスマートシティ支援に貢献できるかもしれません。
今後も、スマートシティ支援に関わりたいという想いは変わりません。unerryでは人流データに関するノウハウはもちろん、判断力とそれに必要な度胸をとことん鍛えて自治体への提案に活かしていきたいと思います。プログラムは残りわずかとなりましたが、全力投球でいきます。引き続きよろしくお願いいたします。
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