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2023.06.09
うねりの泉編集部
「テレビちゃん。」に誘われて(後編)〜愛媛朝日テレビ × 花王 ×レデイ薬局 × unerry それぞれの想い〜
本シリーズは、unerryのビジネスプロデューサー イチエダと、野心的で超面白い取り組みを進める方々との対談を通してメディアとリテールの未来を考える企画です。
前編に引き続き愛媛県のローカル局、愛媛朝日テレビ(eat)が手掛ける「テレビちゃん。」について話を聞いていきます。今回はパートナーである地元リテール企業のレデイ薬局、広告出稿主である花王の担当者さまを含めた、4者対談でお送りします。
▼前編はこちら▼
登場人物
株式会社花王グループカスタマーマーケティング 中四国支社 チェーンストア部 篠永雄佑様
主なお仕事内容:特定の小売業様商品部を担当し、小売業様と協働することで、双方の売上・利益の拡大、花王のブランド価値向上の実現を目指します。
株式会社レデイ薬局 営業本部 マーケティング部 部長 小段鋭和様
主なお仕事内容:チラシやアプリを使用した販促計画の作成と実施。新しい販促の企画立案とその実行が主な仕事です。
※担当部署、役職は取材当時
株式会社愛媛朝日テレビ 営業局 コンテンツデザイン局 課長 兼 事業創造部 檜垣佳宏様
主なお仕事内容:テレビちゃん。担当
株式会社unerry Beacon Bank事業部 ビジネスプロデューサー イチエダ(一枝悟史)
主なお仕事内容:メディア企業との一歩先ゆくアライアンスを担当。
INDEX
「テレビちゃん。」の心も体も動く体験に、家族が結託した
(unerry)イチエダ:
本日はよろしくお願いします。早速ですが、「テレビちゃん。」は2020年6月にスタートしていますよね。約3年で、どんな成長がありましたか?
(eat)檜垣さん:
2020年6月の初回放送は350人くらいの参加者から始まって、今は回にもよりますが6倍くらいに増えました。最初はリテールさんとの連携はなかったのですが、地元動物園とのトライアルも経て実際に「人を動かせる」ことがわかってきて、レデイ薬局さんへご提案しに行ったのが番組開始から1年半くらいの時でしたね。
「テレビちゃん。」で提供したいのは、「心も体も動く体験」です。ローカル局ならではの価値の再設計を考えるなか、愛媛のどこにいても徒歩10分圏内にあるレデイ薬局さんと互いのリソースを活かすことで、放送を起点としたお買い物体験をイベント化したいと思いました。
(unerry)イチエダ:
松山空港から街中に来るまでレデイ薬局さんを何軒も見かけました。ローカルテレビや方言たっぷりのラジオと同じく、日本は小売店に地元色があるのが特徴だと思います。“リテールメディア”という言葉も注目されていますが、まさに地元小売店は生活者にとってのメディアなのだなと実感しています。
言ってみれば地元のメディア同士の連携に僕はワクワクしているわけなのですが、実際にレデイ薬局さんは、檜垣さんからの提案の第一印象はどうだったのでしょうか?
空港から市内へいく道中で発見したレデイ薬局がインタビュー会場
(レデイ薬局)小段さん:
レデイ薬局としてもアプリ利用を推進しているタイミングであったこともあり、親和性がある面白そうな企画だなと思いました。でも、最初はすぐに始めましょう!という温度感ではなかったです。
(unerry)イチエダ:
そうだったのですね。何かきっかけがあったのでしょうか?
(レデイ薬局)小段さん:
それは…檜垣さんがしつこく提案してくるものだから(笑)。
「テレビちゃん。」の心強いパートナー、レデイ薬局 小段さん
(eat)檜垣さん:
ちょっとちょっと!
(レデイ薬局)小段さん:
まあ冗談なのですが、「やってみよう」と思ったは、実際にうちの子供二人が「テレビちゃん。」の早押しクイズをめちゃくちゃ楽しんでいて、いつの間にか家族中が結託していたからです。「スピードが大事なんだよ!」とか子供に怒られたりとかして。
「これ、ええなあ」と思って。
実体験を通して、大変なことも多い子育て世代の方に「テレビちゃん。」を楽しんでもらって、レデイ薬局でお得に買い物をしていただけたら、サポートの一つになるのではないかと思いました。
クーポン使用率は約10% 来店効果も可視化し継続的な取り組みに
小段さんの言葉に喜びを隠せないeat檜垣さんと、unerryイチエダ
(unerry)イチエダ:
ご自身の実感があったのですね。
(レデイ薬局)小段さん:
そうですね。
ただ、提携の決め手となったのは効果を可視化できる点でした。当社はテレビCMでも大変お世話になっているのですが、難点としては実際に店頭にどれくらいの方がいらっしゃっているのかを測れないことです。
「テレビちゃん。」なら、クーポンを提供した参加者のうち、何人来店したのかが分かる仕様になっている。これなら継続的に実施できるなと思いました。ID連携で年代が分かるので社内の人にも「本当に子育て世代の方に来ていただいています」と説明しやすかったです。
(unerry)イチエダ:
檜垣さんの熱量が通じましたね(笑)
広告出稿を継続的にされている花王様にもお伺いできればと思うのですが、「テレビちゃん。」に参加した理由はどこにあったのでしょうか?
(花王)篠永さん:
小段さんにお声がけいただいたのがきっかけです。これはもう断れないなと(笑)
実際に、これまでにない発想の企画で面白いと思いました。しかし、私自身にも知見がなくどう社内提案をしたものかと考えたのですが、まずは販促費の比重を変えてトライしてみました。そうしたら、クーポンの使用率が10%近い結果になり驚きました。通常は1,2%程度という肌感覚だったので、今後参加者が増えればモンスタークラスの結果になるなと期待感が膨らみました。
また、メーカーにとって「売り場は命」とも言えます。お客様とのタッチポイントとなるスペースをいただけるのは、本当にありがたいことです。テレビ放送と連動した売り場、というほかにはない強みを活かして、ブランド育成にも力を入れていけると思いました。
現在はイチオシの新商品が出たら「テレビちゃん。」をプランに載せて、効果を検証するという流れが定着してきましたね。
リテール企業&メーカー担当者も「テレビちゃん。」のプロデューサー
(unerry)イチエダ:
実際に続けてみて、マーケティング効果を実感されていますか?
(花王)篠永さん:
はい。「テレビちゃん。」をやりたい、というバイヤーさんからのご要望をいただくことも多く、商談の場では必ずと言っていいほどメニューに入っています。
大規模というわけではないですが、参加人数は着実に増えていますし、新製品を出すたびに、クーポンが使われていることを如実に感じています。
レデイ薬局さんでの1店舗あたり売上(パーショップ)は日本一に近い結果も出ており、「テレビちゃん。」予算は増えています。直近でも新たなキャンペーンでご一緒できればと思っています。
(unerry)イチエダ:
マーケティング成果がここまではっきり出てくれると気持ちいいものですね。テレビと連動していることは商品訴求力にも影響はありそうですか?
(花王)篠永さん:
「テレビちゃん。」では商品の特徴が早押しクイズになっているので、参加者の方に楽しみながら特徴を覚えてもらえるのが魅力ですね。
最初は、檜垣さんたちの企画にのっかるばかりだったのですが、回数を重ねるごとに一緒に「テレビちゃん。」を作っているような感覚です。クイズの内容やキャンペーンを花王起点で企画することもあり、採用されたらテンションあげています。
(eat)檜垣さん:
レデイ薬局さん、花王さんには、「テレビちゃん。」のプロデューサーとして参加いただいているのだなと思います。企画やアプリについても、さまざまなご意見を頂戴して反映させてもらっています。
(花王)篠永さん:
テレビCMは、ローカル局であっても東京からの連携になるので、ローカルで働く中でも実際にご一緒できる機会は少ない状況です。「テレビちゃん。」では、密に檜垣さんたちと協業できるので、すごく新鮮な関わり方をしています。
花王 篠永さん(左)もご家族で「テレビちゃん。」を楽しむファンの一人
新商品の訴求にぴったり 現場も肌で感じる来店頻度UPの効果
(unerry)イチエダ:
レデイ薬局さんは、売り場にはどんな変化が起きていると感じていますか?
(レデイ薬局)小段さん:
「テレビちゃん。でやってた商品どこですか?」とお客様の声が増えたとのことで、現場の従業員も効果を肌で感じているようです。
番組を見た人が来て、商品を買ってくれている。来店頻度が上がっている。レデイ薬局を贔屓にしてくださっている方がさらに来てくれるようになった。ポイントカード情報からも、現場感としてもあからさまに分かるようになりました。
「テレビちゃん。」は特に新商品を販売するのに、ぴったりのパッケージだと思います。
新しいものは、前より少し良くなって出てくるわけですが、店頭だけだとその魅力を伝えきれないものです。クイズでポイントを説明した上でトライアルの特典をつけて使ってもらえる。良いものを安く買えたということになればレデイ薬局の信頼もあがります。
社内の信頼を得られているようで、「面白い企画ですね。すごいですね、小段さん!」って私の評判も上がりました(笑)。
レデイ薬局 店頭でも「テレビちゃん。」販促はばっちり
(eat)檜垣さん:
それを聞いて嬉しいです。最初の頃は、今よりオペレーションが難しくなることもあっての初めてづくし。従業員の方にどうお願いしたら一番負荷がかからないかをずっと考えていました。
(レデイ薬局)小段さん:
我々としては店頭の準備と従業員への周知、クーポン発行の対応がありますが、それができれば売れるほどメリットがあります。花王さんも「やりたい」とおっしゃってくださったので、ひく必要がなかった。現場も熱意を汲んで、前向きに取り組んでくれています。
地元を知り尽くす最強の2者がメーカーと組んだ、シン・エコシステム
(unerry)イチエダ:
ありがとうございます。最後にみなさんから一言ずつお願いします!
(eat)檜垣さん:
「テレビちゃん。」は体験が全てです。クイズに参加してレデイ薬局さんでクーポンを使うまでの体験を、どうしたらユーザーの方に楽しんでもらえるか、考え抜きました。また、「テレビちゃん。」は、小段さんや篠永さんはじめ非常に多くの方との協業で提供できるプラットフォーム。責任を背負っていると思うと気が引き締まります。人の心と体を動かすテレビの効果をお伝えし続けることに意味があると思いますので、今後もご期待いただければと思います。
(レデイ薬局)小段さん:
これまで、さまざまな手法でマーケティングを実施してきましたが、テレビが人を動かすことをリアルに感じて「テレビもまだまだすてたもんじゃないぞ」と正直に思いました。
レデイ薬局は、地域のお客様を豊かにする企業であることを目指しており、「テレビちゃん。」は、その実現のために、とてもいい企画だと感じています。今よりも生活が向上する商品を作るメーカーの想いをテレビが伝え、お客様に足を運んでもらう。そして最後にレデイ薬局が商品をお届けするという、バトンを繋いでいるような感覚です。お客様がより暮らしやすい生活を実現するために、メーカーとローカル局とリテール企業の三者のトライアングルで貢献できればと思います。
(花王)篠永さん:
我々も、豊かな生活を実現するための一翼を担う商品を届けたいという想いがあります。九州、中国四国地方は全国でも価格競争が激しいエリアですが、常に新しいことに取り組む「テレビちゃん。」との一緒のチャレンジを通じて、商品本来の魅力を伝えていければと思います。
unerryのビジネスプロデューサー イチエダより:
「メディア」という言葉を考える上で、日常の中で生活者と「接点がある」「ものを伝える」ことを役割と捉えるなら、地域にとってリテール企業とローカル局は似た役割をもつ同士なのではと思います。
「テレビちゃん。」では、地元を知り尽くす最強の2者が、パートナーとなって生活者に対して面白い体験を届けている。このエコシステムは、僕にとっては涙がでるほど素敵なものです。
僕の次なる野望は、全国のメーカーや全国の地元リテールを巻き込みながら、心と体を動かす面白さを広げていくこと。もし「テレビちゃん。」にご興味いただける方がいらっしゃったなら、ぜひこの野望にお付き合いいただければ幸いです。
イチエダの野望にお付き合いいただける方、ご連絡をお待ちしております。
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