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横浜駅西口「FOOD & TIME ISETAN YOKOHAMA」の初挑戦。来店顧客の店外行動可視化と送客率9.5%を実現したデジタル集客広告

横浜駅西口「FOOD & TIME ISETAN YOKOHAMA」の初挑戦。来店顧客の店外行動可視化と送客率9.5%を実現したデジタル集客広告

株式会社三越伊勢丹プロパティ・デザイン

2020.12.07

KEYWORDS

  • #SNS広告
  • #商圏分析
  • #商業施設
  • #店舗分析
実績_ロゴ_03@2x

三越伊勢丹プロパティ・デザインは三越伊勢丹ホールディングスにおいて、テナントマネジメント事業等を担っています。

ミーツ国分寺、新宿アルタを運営するほか、2018年3月より「FOOD & TIME ISETAN YOKOHAMA」を横浜駅西口 ジョイナス地下にオープンしました。「FOOD & TIME ISETAN YOKOHAMA」は、カジュアルに楽しめるカフェやダイニング、フードホール、生鮮品やスイーツのショップが並ぶほか、アートイベントを開催するなど横浜駅利用客の人気の施設となっています。

unerryとは、位置情報を活用した顧客分析とデジタル広告の両軸で施策を行いました。いずれも同社にとっては新しい試みであり、挑戦でした。

この新しい取り組みについてお話を伺ったのは、実際にご担当された市田様と、中里様。そして、後任で現在ご担当されている安藤様と池様に今後のunerryへの期待についてお伺いしました。

<この記事のポイント>
● 競合店舗や近隣エリアにおける移動データをもとに、サービス展開エリアを拡大
● ビーコン活用で、販促施策の実際の来店効果を検証
● 初挑戦のデジタル広告も、密なフォローでPDCAを回し好結果に

お客様像の理解を深化。行動情報からカバーすべき新たなエリアの発見も。

顧客像理解のため、まずはビーコンを店舗に設置し、施設を訪れるお客様は横浜駅西口周辺の他のどの商業施設やエリアを訪れているのか、また普段の行動情報から性別年代のデモグラフィック分析を行いました。提携アプリをインストールしたお客様が施設内に設置されたビーコンのBluetooth電波圏内に入ると、リアル行動データプラットフォーム「Beacon Bank®」に来訪データが蓄積。「Beacon Bank®」上の全国のビーコン・GPSデータをAI解析することで施設を訪れるお客様の普段の行動傾向から性別や年齢を推計できるほか、居住エリアや来訪路線なども把握できる仕組みとなっています。

行動分析の結果、「FOOD & TIME ISETAN YOKOHAMA」は周辺の競合店舗やみなとみらいエリアと比較すると、男性のお客様を取り込めていることや、年齢層が若干低めであること、また相鉄線沿いにお住まいの方が多いことが推定されました。また「FOOD & TIME ISETAN YOKOHAMA」を訪れるお客様は、横浜西口の北幸(きたさいわい)エリアとの相関があることが新たに分かりました。

上記の結果を受け、同社の新規事業であるデリバリー事業において、当初予定エリアに含まれていなかった北幸エリアを配達エリアに追加するなどの変更が行なわれました。

※本施策においては名前や電話番号など、個人を特定できる情報は一切取得・使用しておりません。また、取得した行動情報は、統計情報化しています。

来店を促す4つのシーン別にプッシュ配信を実施 送客率9.5%を実現

分析と併せて行ったのは、立ち寄りニーズを喚起するデジタル集客施策です。店舗のある横浜駅周辺と店舗を訪れるお客様がよく利用する7駅を訪れた人に対して、リアルタイムプッシュ配信を行いました。

リアルタイムプッシュ配信画面イメージ

今回は目的、時間帯、訴求ポイントが異なる4つシーンで実施しました。それぞれのターゲットのリアル行動にあわせて、店舗や商品特集などの情報が提携アプリからのお知らせとしてスマートフォンに届く仕組みです。

店内に設置済のビーコンを活用することで来店状況を検知、広告効果の検証も行った結果、配信数に対する送客数は9.5%という高い数値となりました。紙媒体と比較しても一人あたりの送客コストは低く、効率的に来店まで繋げることができました。

INTERVIEW

ビッグデータ分析とデジタル広告。新たな試みの中で得られた気づきとは。

三越伊勢丹プロパティ・デザイン 
商業施設事業部 第二グループ FOOD&TIME ISETAN YOKOHAMA 担当 安藤 仁様、池 文香様
商業施設事業部 第一グループ サンシャシンシティアルタ担当 市田 宗雄様
商業施設事業部 計画・管理 中里 三紀様

――今回の施策を通して得られたのは、どんなことですか?

「FOOD & TIME ISETAN YOKOHAMA」においては、SNSでのタイムリーな情報発信や月に数回のイベント開催を主な集客施策としてきましたが、SNSにしてもゼロからのスタートなので、どういったお客様に向けて発信していくべきなのか、明確なターゲット像がわからないという事が課題でした。

今回の分析を通しては、競合他店と比較してどのようなお客様に来ていただいているのか、またエリア内での立ち位置などをデータで俯瞰して見られたことが大きいです。横浜駅周辺を訪れるお客様に対して、どうアピールするべきなのかを検討する際の、基本的な武器を手に入れることができたと考えています。また、データ分析の結果はご出店いただいているテナント様とも共有していますが、非常に興味をもって聞いてくださいます。施設全体にいらっしゃるお客様と、店舗それぞれにご来店されるお客様とのギャップを捉えることができる説得力ある情報として、ご認識いただいているのかと思われます。

デジタル広告施策については、送客実績として非常に高い効果を得られましたが、データをみながら臨機応変にチューニングを行えた事も、オフラインではできなかった新しいことでした。施策上の変化が、結果にも数字で現れるのはデジタルのよい部分であり、販促施策の費用に対して、有用な手法であると感じています。

FOOD & TIME ISETAN YOKOHAMA

――unerryをパートナーとして選んでくださった決め手を教えてください。

まずは保有しているデータの規模です。unerryの「Beacon Bank」では、様々な提携アプリを通して全国的にもカバーされたデータが捉えられているため、安心してお願いすることができました。もう一つはご担当者の知見が深く、提案内容が核心をついている、というところです。小売業界や店舗についてしっかりとご理解いただけた上でのご提案は、聞く側としても共感できる部分が多く、その先に繋がっていくと感じています。

また、デジタル広告については我々としても初めての挑戦で、専門用語ひとつとっても分からない事が多かったのですが、言葉や表現を丁寧に選んでご提案くださったのは有り難く感じました。広告については勉強会も行っていただきました。一言に「デジタル広告」と言っても様々な種類とそれぞれに役割があることや、人々のまわりに大量の広告が溢れる中、大切な情報をお客様に対してどういった想いで届けていくべきなのかを考えられた上で、施策に取り組むことができました。

――今後、unerryに期待するのはどんなことですか?

当施設は横浜駅構内に位置していますので、店前の人通りは十分です。しかし、まだ立地を十分に活かしきれていないと感じています。店前を通過してしまう人に「あと10メートル」足を運んでもらえるような仕組みを共に作っていければ、と考えています。また現在、最も大きな課題は顧客のリピート化です。定期的にご来店いただける仕組みづくりもしなければと感じています。

今年については、夏頃から新たにビーコンを設置し、さらにお客様の特性を把握するための分析調査を進めています。既存のビーコンも活用しながら「お店を利用していない方」と「ご来店いただける方」はそれぞれどんな行動特性があるのか、その傾向を把握しプロモーション施策の立案に活用していく予定です。

たとえば、施策の一つとして、この秋にはパラリンアートアーティストと連携したアート展を施設内で開催しましたが、データ分析の結果を見ると、お客様特性としても、会館やホール・映画館や劇場といった芸術関連施設への関心が高いことがわかってきました。スタジアムやアリーナなど多くの大型施設が集積するのも横浜の地の利です。周辺施設とのコラボレーション企画を行うなど、より地域全体で盛り上がれるような仕掛けを作っていければと考えています。

アート展を企画・運営した三越伊勢丹プロパティ・デザイン商業施設事業部 第二グループ FOOD&TIME ISETAN YOKOHAMA 担当池 文香様

2021年4月に「FOOD & TIME ISETAN YOKOHAMA」の運営・管理は、(株)三越伊勢丹プロパティ・デザインから(株)三越伊勢丹へ組織変更となりました。

[取材日] 2020年10月6日 ※内容は取材当時のものです。

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