事例紹介トップへ
人流データ×ID-POSデータで新規&休眠顧客の開拓に成功 伊藤ハムが挑戦したパーソナルオファーの新手法

人流データ×ID-POSデータで新規&休眠顧客の開拓に成功 伊藤ハムが挑戦したパーソナルオファーの新手法

伊藤ハム米久ホールディングス株式会社

2023.04.25

KEYWORDS

  • #SNS広告
  • #メーカー
  • #リアルタイムプッシュ配信
  • #購買データ連携
伊藤ハム

昭和3年創業、日本の食肉加工産業を切り拓いてきた伊藤ハム米久ホールディングス株式会社は、数々の食卓の定番を生み出しているハム・ソーセージメーカーです。

その伊藤ハムの看板商品「グランドアルトバイエルン」は、TVCMなどを通じて高い認知度を得ていますが、店頭で選ばれ続けるブランドであるために、新たなマーケティング手法として人流データとID-POSデータを活用したデジタル広告施策を実施。全国の配荷先スーパーご利用者に向け、SNS広告、プッシュ通知を組み合わせ、商品・キャンペーン情報の配信を行いました。

事例取材にご協力いただいたのは、伊藤ハム米久ホールディングス株式会社 加工食品事業本部 事業戦略統括部 マーケティング部 MKプランニング室 室長 塙平 昇様です。

<この記事のポイント>
● 人流データ×ID-POSデータの活用で購買タイミングに近いお客様との接点を創出
● 購買影響分析とスーパーマーケットの売り場を盛り上げるプロモーションを同時に実現
● マーケターの役割は0を1にするところ データを活用した新しい手法を「やらない理由」はない

配荷先の全国のスーパーの来店率がアップ 新規&休眠顧客の開拓にも成功

「Beacon Bank AD」は、特定のチェーンのID-POSデータを個人を特定しない形でAI解析し、購買履歴等に基づいた広告配信を行うことができます。同時に広告配信結果に基づき、どのようなお客様にどのような購買影響があったかという分析ができます。

本施策では、並行して全国の配荷先スーパーの売り場を盛り上げるよう、配荷先スーパーを定期的に来訪している方に向けたプロモーションを実施しました。

購買機会に近い消費者への販促である本施策の結果、アルトバイエルンの販売シェア向上だけでなく、新規/休眠といった3ヶ月以上同カテゴリの購買がなかったお客様の掘り起こしに繋がるなど、売り場全体の活性化に寄与する結果となりました。

※本施策においては名前や電話番号など、個人を特定できる情報は一切取得・使用しておりません。ID-POSデータとの併用は、データ活用に同意いただいた内容の範囲内で安全に行われています。

INTERVIEW

10年先も愛されるブランドであるために、パーソナルオファーの時代に対応

伊藤ハム米久ホールディングス株式会社 加工食品事業本部 事業戦略統括部 マーケティング部 MKプランニング室 室長 塙平 昇様

――本取り組みを始める前に感じていた課題があれば教えてください。

当社はこれまで、大規模なテレビCMの投下などマスマーケティングに力を入れてきました。

しかし、若いお客様を中心に、マスマーケティングだけではリーチできない方が増えてきています。今後5年10年先は、ますますその傾向は強まるはず。引き続き愛されるブランドであるためにも、新たなマーケティング手法を早く取り入れる必要があると考えていました。

――「購買・来店データ活用」に取り組まれることになった背景を教えてください。

unerryさんの行動データを活用することで、よりお客様ひとりひとりにあった情報を届けることができます。ここには特にデメリットがなく、技術的にできるなら「やらない理由が見つからない」と感じました。あわせて、toBビジネスの側面でも、データ活用は重要度を増しています。

当社のような食品メーカーは、一般的にtoCビジネスの印象が強いかと思いますが、実際には我々と生活者のお客様とを繋ぐ、小売様にご協力いただいています。店頭の棚に伊藤ハムの商品を並べていただくため、小売様にどうメリットを伝えるかはとても重要な要素です。データ活用を重視する小売様は増えていて、中にはデータに基づいた提案がないメーカーの優先度を下げてしまう小売様もいらっしゃいます。我々にとってもデータ活用はやるやらないではなく、どうやるかの問題でした。

――本お取り組みについての率直な感想をお願いします。

看板商品「グランドアルトバイエルン」

一番のブレイクスルーは、休眠顧客の態度変容に寄与できたことです。我々だけではアプローチでできなかった部分がプラスに転嫁した。そして、プッシュ配信という手法にも効果を感じました。

CMを見た後に店舗で商品に出会っていただくまでの間、店舗近くの方にプッシュ配信をすることで、自然と商品のことを思い出してもらい手にとっていただく機会を増やせたと思います。

さらに、メーカーがこれまで用いていた配荷数以外の効果計測の指標を作り出せたということも大きな成果です。将来的には、unerryさんの人流データに当社が独自に調査している意識調査データを組み合わせるなどして、さらに生活者のお客様への理解やデータ活用の幅を広げられるのではないかと思います。

――マーケティング施策に対する今後の考えを教えてください。

世帯視聴であるテレビと異なり、スマートフォンは1人1台のパーソナルメディアであるということを意識しています。
マスマーケティングによる情報から主な選択肢が作り出された時代から、パーソナルオファーの時代へと変わってきています。

また多様な商品が存在する中、商品価値は、モノとしての価値だけでなく、情報や体験価値のトータルで判断されるように。そしてその価値基準は生活者のお顧客様個々人の価値観やシチュエーション、タイミングで変わります。そこに対して最適な人、タイミングに情報価値を提供することに、いち早く取り組まなくてはならないと考えています。

伊藤ハムのマーケターの役割は、0を1にするところです。そのためには、真っ先に突破口を開き、お客様がどんな部分に価値を感じてくださっているのかを知り、商品やプロモーションに活かしていく必要があります。新たな手法にも積極的に挑戦していきたいと思います。

[取材日] 2023年2月7日 ※記載内容は取材当時のものです。

SHARE THIS ENTRY