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東京メトロの駅・路線別の高解像度な利用者ペルソナを構築する「行動DNAアナライザー」 リアル行動ビッグデータが交通広告をアップデート

東京メトロの駅・路線別の高解像度な利用者ペルソナを構築する「行動DNAアナライザー」 リアル行動ビッグデータが交通広告をアップデート

株式会社メトロアドエージェンシー

2022.02.02

KEYWORDS

  • #ダッシュボード
  • #行動DNA
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株式会社メトロアドエージェンシーは「東京メトロが持つ交通メディアの開発・管理を担う媒体社」「4マスメディアやOOH、WEBメディアなども含めて幅広にプランニングし、クライアント課題をコミュニケーションで解決する総合広告会社」、そして「グループリソースを最大限に活用するプロデュース会社」という3つの顔を持っています。

マーケティング領域においてデータ活用は年々存在感を増すなか、東京メトロの駅・路線特性の知見を持つメトロアドエージェンシーは、「東京に集う人々の行動」に着目。首都圏の中心をカバーする東京メトロのネットワークを活かし、駅・路線利用者のリアルな動きを起点とした顧客理解を深めるためのダッシュボード「行動DNAアナライザー」をunerryと共同開発しました。

本事例では「行動DNAアナライザー」開発の裏側と、その狙いについてご紹介します。

取材にご協力いただいたのは、株式会社メトロアドエージェンシー 営業本部 統合メディア局 統合メディア部の岩﨑 康二様と、岡 博之様です。

<この記事のポイント>
● 独自指標「行動DNA」で行動傾向を偏差値化 東京メトロの駅・路線別利用者の高解像度なペルソナを理解
● ファクトデータに基づいた根拠のある提案で、お客様からも強い共感を獲得
● 「人」の動きから「場所」の価値を再定義 リアル行動ビッグデータが交通広告をアップデート

行動傾向を場所カテゴリごとに偏差値化 「行動DNA」で利用者のパーソナリティが見えるダッシュボードを構築

「行動DNAアナライザー」は、unerryの「Beacon Bank」に蓄積されるリアル行動データを解析することで、東京メトロの各駅・路線別の利用者のデモグラフィックデータ(性年代、居住エリア・勤務エリアなど)や利用頻度、また行動傾向などを推定し、グラフで可視化できるダッシュボードです。

一番の特徴は、なんと言ってもunerryが「行動DNA」と呼ぶ、普段の行動傾向の可視化にあります。「行動DNA」は、各スポットを「外食」「ショッピング」「生活・サービス」などを中心とした約150の場所カテゴリに分類し、指定した期間内に対象となるユーザー群が足を運ぶ度合いを偏差値で示したものです。「Beacon Bank」提携アプリユーザー全体の行動傾向を偏差値50としたときに、対象となるユーザー群の度合いを見ることでその特性を把握することができます。

たとえば、「行動DNAアナライザー」では「〇〇線××駅を使っている人は、普段どんな飲食店に通い、どんな店で服を買い、どんなレジャーを楽しむ傾向があるか」といったことを確認、分析することが可能です。

またそこから、メトロアドエージェンシーが持つ東京メトロの駅・路線特性への知見と、ダッシュボード上で示されるデータ群を掛け合わせて分析することで、興味関心を含む解像度の高いペルソナ像が浮かび上がります。「行動DNAアナライザー」はコミュニケーション戦略からメディア・プロモーション施策の立案まで広く活用されています。

※取得データには、氏名、電話番号等の特定の個人を識別する情報を含まず、東京メトロからのデータ提供は一切ありません。

INTERVIEW

「TOKYOを最も熟知する企業」として、より理解を深めるために

株式会社メトロアドエージェンシー 営業本部 統合メディア局 統合メディア部 岩﨑 康二様、岡 博之様

――「行動DNAアナライザー」の開発の背景とその効果について教えてください。

岩崎様:
インターネット広告などROIが重視されるマーケティングが主流になる中、「リアルタイムでの効果検証が難しい」という事は、交通広告全体の課題です。

苦手な部分を補った上で、その価値をどう示すべきなのかを考えた際に「首都圏の中心をおさえる東京メトロのネットワーク」という、唯一無二の強みを活かしたいと思いました。そこで、その利用者の動きをデータとして把握・活用することができれば交通広告にとっての大きな価値になるのでは、と考え、今回の開発に至りました。

岡様:
unerryさんの「Beacon Bank」の機能を使えば、来場や来店の広告効果の検証をすることができますが、その上で「行動DNA」を通して利用者の興味や関心を理解できるのは他にはない点でした。ビジネスもカルチャーもエンタメもグルメも、多くの文化が密に集い、多様な価値観があふれる東京のユーザーを理解するには、うってつけのツールですね。

岩崎様:
位置情報という人々の動き(=ファクトデータ)に基づいているため、提案における根拠の解像度が一段あがったと感じています。広告主であるお客さま側でも掴みきれていなかった実情やイメージとの乖離を、データを根拠に説明することができるため、我々が提案する内容に対して強い共感を持っていただくことが多いです。

交通広告以外にも提案できるメディアやアイディアの幅も広がり、従来とは違ったアプローチでの戦略的な提案がしやすくなりました。

――具体的にはどのように使用されていますか?

岩崎様:
お客さまへの提案の際、東京メトロの駅・路線別の特性について知っていただき、メディアを選ぶ際のヒントとしてご利用いただいています。

「行動DNAアナライザー」は当社内でのプランニングツールですが、資料上での説得材料にするほか、商談の際には実際にお客さまにも画面をご覧いただきながらお話することもあります。

岡様:
性別や年代などのデモグラフィックデータだけでなく「行動DNA」が分かることに驚かれるお客さまは多いです。実際に、「趣味嗜好まで分析できるのは非常に興味深い」という声を頂戴しています。

利用者のパーソナリティが見えれば、広告だけではなく販促施策など、多くの領域に活用できることにも共感いただいているので、私たちも積極的に提案し、価値をご提供できるよう努めています。

株式会社メトロアドエージェンシーは東京メトロを知り尽くす

――コロナを経て、特にリアルな場でのメディアの在り方や役割に変化はありましたか?

岡様:
大きく分けて2つの変化があったと思います。

1つは、移動そのものが減ったこと。コロナ前は利用者数の多さ、いわゆるリーチ数にメディア選択の比重が置かれることが多かったのですが、その基準が揺らぎ交通広告・OOH全般に対してニーズのあるものとないものの差が歴然となりました。

2つめは密を避けなければいけない状況下につき、プロモーションイベントなどの賑わい・盛り上がりなどの、従来プラスに考えられていたものがマイナスに捉えられてしまうことです。

どちらもネガティブなように見えますが、だからこそリアルの場での体験・経験はもちろん、それを告知するメディアも貴重であり、重要さが増したと感じています。体験と認知をつなぐメディア。その接触頻度を高めるためにもターゲットのペルソナ分析・理解をどれだけ深められるのか、は重要課題です。

――開発パートナーにunerryを選んでくださった理由を教えてください。

岩崎様:
我々は東京メトロをメインのフィールドとしているので、GPSが苦手な「地下」の移動データを捉えることが必須でした。「地下」も捉えられるビーコンネットワークが既にあるのはunerryさんならではだと思います。

また、我々はデータ分析だけを行いたいのではなく、その先のコミュニケーション提案に繋げられるかが肝だと考えていました。そうした事業課題に高い理解度で共感いただけたこと、また迅速なご対応をいただけたことは決め手でした。

岡様:
私たちは「TOKYOを最も熟知する企業」として、東京という街の理解をデータを使ってさらに深めるためにはどうしたらよいのか、unerryのご担当者様と一緒にとことん議論しました。

色々な視点での議論は刺激的で楽しく、またMTGを重ねるごとにプロジェクトの精度が上がっていくのを肌で感じました。そうした中で出来上がったのがこの「行動DNAアナライザー」です。

今後も、データ分析や他の事例からの示唆などはもちろん、東京メトログループアセットを活用した情報で新しいサービスを開発するなど両社にとって事業を加速できるような取組みをともに進めていけたらと思います。

[取材日] 2021年12月8日 ※内容は取材当時のものです。

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