事例紹介トップへ
テレビCMによる来店&購買効果は?人流データ×視聴データ×購買データでフルファネルの検証を実施

テレビCMによる来店&購買効果は?人流データ×視聴データ×購買データでフルファネルの検証を実施

株式会社トライアルカンパニー

2024.03.01

KEYWORDS

  • #テレビCM
  • #小売店
  • #広告効果検証
  • #視聴データ連携
  • #購買データ連携
trial

株式会社トライアルカンパニーは福岡県を拠点とし、日本全国に約300店舗のディスカウントストア「トライアル」を展開する企業です。“あなたの「生活必需店」。”をコンセプトに掲げる「トライアル」では、衣食住に関わる様々な商品を1店舗で買い求めることができ、かつ重や天然水など、自社工場で製造を手掛けるこだわりの品も取り揃えています。

また、リテールAI事業を担うグループ企業を有する同社では、流通小売事業とIT開発を両輪で進めています。レジ待ちなしでお買物を楽しめるスマートショッピングカート(レジカート)が約2万台稼働しているほか、メーカーや卸企業との協働や購買データの活用を推進することで、小売業界における「ムリ・ムダ・ムラ」の削減を目指しています。

本記事では、新たなテクノロジーに積極的に向き合う同社とともに実施した、人流データ×視聴データ×購買データ連携の取り組みについてご紹介します。事例取材にご協力いただいたのは、株式会社トライアルカンパニー マーケティング部 部長 野田 大輔様です。

<この記事のポイント>
● 人流データ×視聴データ×購買データ(ID-POSデータ)を連携し、テレビ視聴、来店、購買の効果を数値化で
● 放送局別の訴求力や商品特性による時間帯別のCM貢献度を把握することで、プランニングを強化
● 「今まで見えなかったものが、見えるようになった」新たな仮説の構築が可能に

商品別に「テレビCM広告接触者」「来店者」「購入者」「新規購入者」を分析

unerryが「Beacon Bank」に蓄積する人流ビッグデータは、テレビ視聴データと連携することで、テレビCMの視聴が店舗来客に、どの程度影響を与えたかの評価が可能です。

本施策では、さらにトライアルカンパニーが蓄積する購買データを重ね合わせ、自社がプロデュースする商品のうち「かつ重」「天然水」に関して、テレビCMの視聴から店舗への来店、商品の購入に至るまでフルファネルでの効果計測を行いました。

「かつ重」「天然水」を訴求する各CMの放映中および放映後の次の日曜までを分析対象期間とし、「テレビCM広告接触者」「来店者」「購入者」「新規購入者」のボリュームをそれぞれ把握しました。(来店・購買計測対象店舗は福岡県内の全店舗)

「テレビCM広告接触者」の「来店率」はいずれの商品も約5%となっていますが、「来店者購買率」については商品特徴による傾向の違いが見られました。「天然水」はテレビCMをみて来店した方のうち、約5人に1人が購入しているという結果になりました。

テレビ局別、CM接触時間帯別の分析でさらにデータを深掘り

さらにテレビ局別でCMの効果を可視化するため、局別の来店率と来店者の新規比率を可視化しました。

「かつ重」においては、B局が来店率・新規率共に良い結果となっていました。一方、D局は来店率では苦戦しているものの新規率では貢献度が高いこともわかりました。天然水」では、引き続きB局が来店率が高いものの、効果の差は「かつ重」と比べて平準化しています。また新規率においてはD局やE局が逆転する結果になりました。

「かつ重」では、朝帯(6〜10時台)および夕方〜夜帯(18時〜23時台)にCMを見た人の「来店率」が高くなっています。「天然水」では接触時間による差が小さく、幅広い層の接触者に対して一定の効果が見られました。

※本施策においては名前や電話番号など、個人を特定できる情報は一切取得・使用しておりません。ID-POSデータとの併用は、データ活用に同意いただいた内容の範囲内で安全に行われています。

INTERVIEW

新たな仮説構築が可能に、メディアとのパートナーシップ強化にも貢献

株式会社トライアルカンパニー マーケティング部 部長 野田 大輔様

――御社の先進的なIT活用は、小売業界における注目の的となっています。IT分野に積極的に取り組まれる背景について教えてください。

当社グループは、主に流通小売事業とリテールAI事業(IT開発)を両軸で展開しています。IT開発は祖業の一つでもあるため、これまでリテールDXに貢献するさまざまな取り組みを行ってきました。

店内サイネージやAIカメラを充実させるほか、2018年より導入した固定式決済端末付きのスマートショッピングカートは現在約2万台が稼働しており、世界最大規模の月間400万決済がなされています。また、数百社のメーカー・卸企業と連携した購買データ活用を行うことで、ショッパーマネジメントの効率化を図っています。

「トライアルカンパニー(=挑戦する仲間)」という社名の通り、当社には「挑戦」の文化が根付いています。テクノロジーの黎明期からイノベーターとして参入し、多くの失敗を経てその本質をいち早く理解することで、キャズムを超える成果にも繋がるという考えです。またその際に必要なのは「オペレーションドリブン」のアプローチです。目の前の小売現場が抱える「ムリ・ムダ・ムラ」の課題に向き合い、産業に変革を起こしたいと考えています。

スマートショッピングカート

――マーケティング部のミッションについて教えてください。

「トライアルを好き」と言っていただけるお客様を増やすことです。

そのためにはコーポレートブランド戦略や集客・販促活動の実施と併せて、「トライアルに行くと好きな商品が見つかる」という、お客様と商品とのマッチングを生み出すことが重要です。

“あなたの「生活必需店」。”を目指す「トライアル」では、現在約5〜7万品目(SKU)の幅広い商品を扱っています。商品数が多ければ、あらゆるライフスタイルの方のニーズにお応えできますが、一方でお客様にとっては「商品が多すぎて何を選ぶべきかわからない」という状況にもなり得ます。マーケティング部では、購買データ活用も含めたショッパーマーケティングに取り組むことで、お客様と魅力的な商品との出会いの場を作っていきたいと考えています。

「トライアルは欲しい商品があるお店。だから好き。」とお客様に感じていただけたら嬉しいですね。

――本施策以外にも、さまざまな新しいお取り組みをご一緒させていただいています。なぜunerryをパートナーとしてお選びいただいているのでしょうか?

unerryさんとは、もう5年程のお付き合いになりますね。広告宣伝の主戦場が4マスからデジタルに移行していく中で、今後どのようにコミュニケーションをとるべきかの方針を検討中のタイミングでした。

たとえばデジタルコミュニケーションの手段として、アプリは有力な選択肢の一つですが、開発費、データ基盤費、運用費、デジタル人材の獲得など「投資の壁」の存在を感じていました。

しかし、unerryさんが提供するビーコン活用の技術を活用すれば、大規模な開発コストをかけずに、さまざまなメディアを活用しながらお客様理解と情報配信の両面で効果的なデジタル施策を実行できます。最適なタイミングでの最適なコミュニケーションを通じた、LTV向上への期待感もありました。

――今回の取り組みについて率直な感想をお聞かせください。

施策を通して、テレビCM接触者の「来店率」「購買率」、「新規購入率」までも把握できました。数字そのものの評価を問うべきタイミングでは、まだないと考えていますが、今まで見えなかったものが見えるようになり、新たな仮説を構築できるようになりました。

検証結果はテレビ局とのパートナーシップ強化にも役立っています。商品特性による傾向の違いなど、新たな気づきを得られたことで「次回は、この枠で試してみましょう」といった施策検討の材料になっています。

人流、視聴、購買を重ね合わせたCMの効果検証データは、今まで誰も見たことのないデータだと思います。こうした新たなデータを上手に活用することで、「トライアルを好き」と言っていただける方を増やす、というミッション実現に繋げていきたいと考えています。

[取材日] 2024年1月10日 ※記載内容は取材当時のものです。

SHARE THIS ENTRY